技術とソリューション

工研シート技術

①何について、何をする技術なのか?

コンクリ-ト構造物に、合成樹脂シート「工研シート」を、普通ポルトランドセメントを水で練った「セメントペースト」で貼り付けて施工する湿式工法の防水技術

②工研シート開発以前は、どのような技術で対応していたか?

アスファルト防水A-1工法、シート防水、塗膜防水等

③公共工事のどこに適用できるのか?

防水の必要な建築・土木のコンクリ-ト構造物で防水の必要箇所

開発の目的

  • 躯体が雨水や湿気で酸化され耐久性を損なうことがないよう、建物の寿命が来るまで保護することが防水の使命と考え、 コンクリート躯体の保護、即ち建築物の長寿命化を目指した防水。
  • アルカリ性の強いコンクリートは酸性雨に曝されると中性化が促進され、この中性化が建築物の耐久性を左右することになる。
  • コンクリート躯体を無機質な強アルカリ層(高強度セメント層)で覆えば、酸性雨から躯体の保護が可能。
  • 開発者(創業社長)の「高強度コンクリートの研究」を防水に活かし、コンクリート保護を目的として開発した防水。
  • コンクリート躯体保護のため、水セメント比40%以下のセメントペーストで工研シートを貼り付けているが、その理由は以下の通り。
    • 水和反応の完結に必要な水は35~37%と言われている。
    • 工研シートで養生された「セメントペースト」は、圧縮強度が高く、中性化速度がゼロに近い理想的な状態で硬化する。
    • 従って硬化が完結した「セメント層」は、密度が高く・吸水性が少い、接合部の無い、長寿命の防水層となる。
  • この高強度セメント層の優位点と、EVAフィルムの優位点を、相互に有効利用した複合防水。
    • EVAの優位点 :
      ① 低温でもよく伸びる
      ② 耐候性に優れている
      ③ 弾性疲労で切れることない(写真①)


新規性及び期待される効果

  • EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)のフィルムにセメント(粉体)を圧接させた防水シート
  • 普通ポルトランドセメントを水で練ったセメントペーストを接着剤として防水シートを貼り付る湿式防水工法
  • 躯体・防水層・保護層が密着している工法
  • アスファルト防水と比較して、湿潤面に施工可能、火気不要、密着工法、定期的な改修が不要等が主な特徴(改善点) 。

期待される効果は?

  • 湿潤面に施工できるから、下地乾燥の待ち時間が不要で、工期が50%短縮する。
  • アスファルト防水A-1工法と比較して、以下の工程が不要で、防水に関わる費用が20%以上削減する。
    • セメントペーストを均して施工するから、水平部の下地は金コテ押さえ・R取り不要
    • 工研シートとセメントペーストが接着するから、立ち上がり端部の剥離防止の金具止め等不要
    • 工研シートと保護層が接着するから、垂直部のドンボ・ラスが不要
  • 火気・溶剤を使用しないので、煙や悪臭の発生がなく、近隣に迷惑が掛からない。
  • 躯体・防水層・保護層が密着しているから、万一漏水した場合、浸入口の特定が容易である。
    ・防水層の下を走らないから、漏水個所のほぼ真上に水の浸入口があり、特定が容易である
  • セメント層が耐久性のある防水層となり、定期的な防水層の改修不要で、建物の維持管理費の低減が期待できる。
    ・水和反応に必要な水だけで練ったセメントペーストは吸水性の少ない硬化をし、耐久性のある防水層となる


国際特許

工研シートは、日米英仏独ロの国際特許を取得

工研シートは、EVAのフィルムの表面に、左図のように、セメントとの親和性が極めて強い繊維や粉体が多少の間隔をおいて一面に植毛されている。シート表面に植え付けたセメント成分とシートを貼り付けるセメントペーストが結合し更にセメントペーストはシートに養生され、良質のセメント層を形成します。

工研シート防水平面部の断面

下地に亀裂が入った場合、工研シートが伸びる機構は、最初の瞬間、まずその部分のシートだけが伸びる。亀裂巾が少し拡がると植毛の機構で、亀裂面に接した部分の植毛が、局部的に切れたり抜けたりして、その部分が接着から解放されるため、下の図のように、亀裂巾よりもやや広い部分のシートが伸びる。

伸びる強いシート構造


適用条件

①自然条件

降雨下は施工しない、但し、雨上がり直後の施工は可能。

②現場条件

  • 作業スペース・施工場所、共に制限はない
  • 特殊な工具類は不要(主な施工道具:ハンドミキサ-・コテ・ハサミ・バケツ・ブラシ)

③技術提供可能地域について

技術提供可能地域については制限無し

④関係法令について

  • 施工に際し火気・溶剤は使用しない、よって危険物取り扱いの法令に該当しない
  • 屋根・外部は露出防水しない、よって防火・耐火の法令にも該当しない


適用範囲

①適用可能な範囲

現場打ち鉄筋コンクリート下地、ALCパネル下地、又はPCコンクリート部材下地、ブロック下地など、防水下地とセメントが接着する防水下地ならば、どんな箇所にも適用

②特に効果の高い適用範囲

  • 型枠を外した直後や雨上がりの直後のような湿潤面に防水する場合
  • 地下・ピットのような密閉した場所の防水施工
  • 都市部の密集地域・病院など、環境及び近隣に配慮を要する地域の防水施工

③適用できない範囲

ステンレス・金属など、セメントと接着しない下地への防水施工
(但しポリマーセメント系水和凝固型塗膜防水材等で下地調整して施工する場合もある)

④適応にあたり、関係する基準およびその引用元

  • JIS 高分子系ル-フィングシート A 6008 「均一シート」(エチレン酢酸ビニル樹脂系)
  • JASS8 防水工事 S-PC
  • JASS8 防水層の性能試験


留意事項

①設計時

  • 基本的に露出防水はしない
  • 貫通パイプや手摺りは、防水層を貫通しないようにする

②施工時

  • 下地は金コテであまりこすらず、均す程度に仕上げる
  • 防水層にからむドレインや排水金物は、シート防水用を躯体の打設前に先付けする
  • サッシその他の開口部は、防水施工前に取り付ける
  • 普通ポルトランドセメントを、水セメント比40%以内で練ったセメントペ-ストで施工する
  • シートのラップ幅は、通常100~150㎜程度とする
  • 工研シート貼りの作業が終わってから一晩はシートの上を歩いたり物を乗せないこと
  • 工研シートの上に保護を掛けるまで、シートを傷付けないように注意する

③維持管理

  • ドレーン廻りの清掃など、通常管理程度
  • 問題が発生しない限り、定期的な改修の必要はない